インタビュー【前編】 「0から始まった企画。壁を乗り越えて誕生したdesktop!」
株式会社バンダイ プレイトイ事業部/近藤創氏
SPACEWARP開発チームで企画を担当
 「一度企画が白紙に戻ったのも、今考えれば良い事だった。」と語る近藤氏。手前にあるのは、SPACEWARP desktopのパッケージ。
 今回はバンダイのSPACEWARP開発チームの近藤氏に「SPACEWARPdesktop」誕生までのお話を聞きます!


たのみこむ  本日は、株式会社バンダイより、スペースワープ開発チームにて企画を担当されている近藤さんをお招きし、新商品SPACEWARP desktopに関してお話を伺いたいと思います。
 まず、desktopが商品化されるようになった経緯を教えて下さい。
近藤  はい。まず、desktopを作った目的は、より多くの方に、「球が転がる」というスペースワープの遊びを楽しんでいただくことなんです。私自身、スペースワープのチームに入る前から、このシリーズの大ファンでした。球がレールの上を転がっていくのを眺めるという遊びは、シンプルながら、根元的に人を引き付ける強い魅力があります。たくさんの方が、店頭でスペースワープのサンプルを目を輝かせながらご覧になっているのを見ても、そう感じます。
 ただ、2005年の復刻以降、現シリーズだけでは、多くの方に楽しんでいただくには障壁があることもわかってきました。アンケート調査などの結果から、「興味はあるけれど、部屋に置き場所がない」と感じている方が大勢いらっしゃることがわかったのです。そういったわけで、コンパクトサイズのスペースワープ「desktop」の企画が始まったのです。
たのみこむ  なるほど、消費者のニーズに答えるための企画ということですね。企画開発はスムーズに進んだのですか?
近藤  とんでもないです(笑)。この商品の開発はとても大変でした。一年以上の開発期間がかかりましたし、実は、設計の前段階まで行ったところで一度完全に白紙に戻ったりもしています。
たのみこむ  そうなんですか!どのような点が難しかったのですか?
近藤  コンパクトな世界観を表現するために、レールのシステムを0から作った点、球に緩急をつけようとした点、また、光らせるのにも苦労しました。
たのみこむ  具体的に教えてもらえますか?
近藤  第一に、サイズをコンパクトにするため、今までのレールとは全く違うシステムのものを作らないといけないという点に苦労しました。
特に苦労したのは球の緩急です。コンパクトになると、球の走行距離が短くなるため、球は一瞬でコースを走り抜けてしまいます。
元祖スペースワープの魅力は、時にゆっくり、時にスピーディーに、球が緩急をつけながら転がっていく様子なのですが、一回目の試作は、球が一気にコロコロっとコースを転がり抜けていました。やっている本人としても、「なにかが違うな…」という感じでした。
 また、光の問題もありました。光るSPACEWARPが欲しいという要望はお客様からも多数いただいており、当初から光らせるという構想はあったのですが、その具体的な方法が決まっていませんでした。最初に試していたのは、台座にLEDを設置して下からコース全体を照らすという方法でした。ただ、この方法には大きな課題があって、コースは見えても走っている球がよく見えないんです。
たのみこむ  暗闇の中で、コースは見えても球が見えない・・・。確かに、それは本末転倒ですね。
近藤  そうなんです。緩急と光り方が中途半端なまま、社内の会議で発表したところ、大不評をくらいました。そこで一旦企画が0に戻ったんです。企画がボツになりかけたと言ってもいいですね。
たのみこむ  ボツになりかけたんですか!?それは大変でしたね・・・。(ボツになった第一段階の企画については、「DEVELOPMENT」にてデザイン画を公開させていただいてます)。
でも、そういった苦労の甲斐があって色々な新システムが開発されたんですよね?
近藤  そうですね。私達開発チームとしても、企画が0に戻って、逆に「なにくそ!」と熱くなった部分があり、その後は、とんとん拍子に事が進んでいきました。
 そこから勢いをつけて、緩急をつけるためにレール幅を調節したり、球を光らせるために蓄光性のボールを使ったり、光を持続させるためにブラックライトを内部に仕込んだり、と、画期的なアイディアがいくつも生まれました。
 今、それらのアイディアは特許申請中です。
たのみこむ  なるほど、そのような苦労あって、今の工夫が凝らされたデスクトップがあるわけですね。
近藤  そういう意味では、一度壁にぶつかったのも、良い結果となりました。
>後編に続く

インタビュー【後編】 「SPACEWARPの未来とガジェットブランドについて」

たのみこむ  先週に引き続き、開発チームの近藤さんにお話を伺います。前回は、開発の経緯などを詳しくお聞きしましたが、今週はシリーズの今後について聞かせて下さい。
スペースワープは、「desktop」の発売で新たなステージを迎えるように感じますが、今後どのような方向に進んでいくのでしょうか?
近藤  私達は、「SPACEWARP」を一つの商品の枠の中に収めず、様々な可能性を持ったシリーズにしていきたいと考えています。シリーズの基本理念は、「球を転がす面白さ、楽しさを核とした、大人に『上質な時間』を提供するインテリアホビー」です。
 ホビー性を重視した今までの商品とは異なり、インテリア性に特化した「desktop」が開発されたのも、そのような考えからです。
たのみこむ  なるほど、では、今まであったシリーズはどうなるのですか?
近藤  既存のシリーズには、ホビー性という魅力があります。ですので、今後も継続して販売しますし、同時に新商品も開発していきます。
たのみこむ  では今までのシリーズのファンの方も一安心ですね。
近藤  今後は、既存の「SPACEWARP」と、新しい「desktop」、それぞれの新商品を開発していきます。また、さらに新しい付加価値を持たせた商品も開発していく予定です。そのようにしてSPACEWARPシリーズの世界を広げ、様々なお客様に楽しさを提供していきたいと思っています。
たのみこむ  今後さらに新しいSPACEWARPが見られるということですか?それは楽しみですね!でも、なぜバンダイさんはSPACEWARPにそこまでこだわりをお持ちなのですか?
近藤  前回のインタビューでも申し上げましたが、SPACEWARPの遊びはシンプルながらも、「時代や流行に流されない魅力」があります。
 私たちの中には、長い間売れ続ける商品を開発したいという思いがあるのですが、SPACEWARPはまさにその素質を持っていたんですね。そのため、バンダイの大人向け商品のブランドの柱として、今後も力を入れて大切に育てていこうと考えているんです。
たのみこむ  確かに、SPACEWARPは長い年月を経ても色あせない魅力がありますね。今おっしゃった「大人向けの商品のブランド」とはどういったものですか?
近藤  バンダイは、SPACEWARP desktopの発売と同時に、大人向け商品のブランド「Gadget(ガジェット)」を立ち上げます。
 バンダイには、CUBE WORLD(キューブワールド)やHuman Player(ヒューマンプレイヤー)、HEX BUG(ヘクスバグ)など、SPACEWARP以外の大人向け商品があります。それらをまとめて、一つのブランドにするわけです。 もともとこのような大人向け商品を作り出したのが、まさに2005年のSPACEWARPの復刻からでした。
 それまでは、大人に対してどれくらい玩具が売れるのかは、我々の中で未知数だったのですが、SPACEWARPで初めて挑戦したところ、大成功を収めました。そこで、徐々に大人向けの商品ラインナップを増やしていき、やっと対外的なブランドとしてまとめることができるようになりました。
 SPACEWARPはブランドの始まりであり、また発売から3年経った今でも安定して売れているということもあり、今後もこのブランドの柱として成長させていこうと考えています。
たのみこむ  「ガジェット」という言葉は、最近いろいろなところで耳にしますね。大人向けおもちゃのブランドとしても、良いネーミングだと思います。
近藤  我々のGadgetブランドには、一貫して「DNA」というポリシーがあります。DはDesign(デザイン性)、NはNew(新しさ)、AはAttention(人を惹きつける)という意味です。
 ターゲットとしては、2〜30代の比較的若い層の男女が対象です。そのポリシーを持ちながら、今後も魅力的な商品を開発していこうと思っています。
たのみこむ  SPACEWARPを始め、今後バンダイさんから発売されるガジェットブランドの商品を楽しみにしています。是非面白い商品をたくさん作ってください。
近藤  はい、皆さんの期待に答え、「大人向けの面白いおもちゃと言えばバンダイ」と言われるようにがんばります!

ガジェットブランドのロゴマーク。ポリシーであるD・N・Aも書かれている。

ガジェット商品の一部。どの商品も話題を呼び、販売も好調だ。